嘔吐 J-Pサルトル

『嘔吐』(おうと、La Nausée)は実存主義者の小説家ジャン=ポール・サルトルが1938年に著した小説であり、サルトルの精神形成を知る上で欠かすことのできない、実存主義の聖書と言われている。
大学教授であった頃の作品で、彼の著作の中で最も良く知られるものの1つである。カフカの影響を受けているとされる。

主人公ロカンタンは、ある日「吐き気」に気づく。
「吐き気」の正体は分からぬまま、頻度は増してゆく。
やがてロカンタンは「吐き気」が「実存」に対するものだと
気づく。「実存」とは、目に見えるものだけではなく、音楽などの
目に見えないものもそうである。また、思考そのものも「実存」
であり、生や死も「実存」である。そして実存である生や死は
偶然であるとする。これが実存主義であり、その考えを端的に
著しているのが短編小説「壁」でもある。
「嘔吐」と「壁」の入っている「水いらず」どっちもお勧めの
一冊である。