モデラート・カンタービレは
「普通の速さで歌うように」という音楽用語である。
この物語は人妻であるアンヌが情痴殺人事件を目撃したこと
をきっかけに、酒場でショーヴァンと毎日事件について
語り合うという話である。アンヌは密かに町からの脱出を
夢見る。
「あなたは死んだほうが良かったんだ」というショーヴァン
に対し、アンヌは
「もう死んでいるわ」と答え、物語は終わる。
「情熱」と訳されるPassionはキリストの受難というシーンを
西洋人なら誰でも思い浮かべるものらしい。
しかし、日本語訳では抜け落ちてしまっている。
この点に注意して読み進めていただきたい小説である。