サロメ ワイルド

ワイルドの名を世間的に最も華やかにしたのは、戯曲、特に喜劇
であった。特に「真面目が大事」は大成功をおさめた。
サロメ」はこの喜劇作品が執筆される直前にパリ滞在中に書かれた
ものである。しかし、イギリスでは上演さえ許されなかった。
 しかし、戯曲としてはこれほど多く読まれている作品も珍しい。
ことに外国語に訳されている点では、他にはほとんどその比を
みない。日本語だけでも十数種の訳があるらしい。

美しい王女サロメは、預言者カナーンに恋をし、月光の元での
宴の席上、7つのヴェイルの踊りとひきかえに,預言者カナーンの生首を所望する。
王エロドはサロメの妖しい美しさの虜であるがゆえ、預言者
カナーンの首をしぶしぶ承知する。
王女サロメは喜んで、ヨカナーンの生首に口づけする・・・。

サロメ新約聖書の記述に基づいている。ヨカナーンは洗礼者ヨハネ
であり、エロドはイエスの誕生をおそれて幼児虐殺を行ったヘロデ
の子である。