彼らの流儀 沢木耕太郎

コラムでもなく、エッセイでもなく、ノンフィクションでもなく、
小説でもない―そんな33の短編集。
それぞれの登場人物には登場人物なりの「流儀」が描き出されて
いる。

この作品の素晴らしいことは、「起承転結」ですべての短編が
書かれていること。
そして、特に「転」の飛躍が見事である。それを、きれいに「結」
で受けているのである。

沢木耕太郎という人の文章の巧さがよく出た作品だと思う。
また、沢木耕太郎のレンズを通してみる世界がなんとも
心地よい。そこには、作者の暖かいまなざしがある。