個人的な体験 大江健三郎

大江健三郎の長男が実際に脳に障害をもって生まれてきたのを
機に書き上げた作品。長男は現在作曲家として活躍している。

主人公鳥(バード)は、アフリカへの冒険旅行を夢見るモラトリアム
青年である。わが子が頭部に異常をもって生まれてきたことを知り、
わが子の死を願い、女友達の火見子との快楽に耽る。
火見子は問う。
「あなたは自分自身を不幸にするばかりか、この世界にとって
まったく無意味な存在をひとつ生きのびさせることになるだけよ。
それが赤ちゃんのためだとでも考えるの?鳥(バード)」
「それはぼく自身のためだ。ぼくが逃げまわりつづける男である
ことを止めるためだ。」

この問題は非常に奥が深い。実際にわが子が重い障害をもって
生まれてきたら、と考えるとどうするのが正しいのか正直分から
ない。
大江健三郎の代表作、是非読んでみてください。