さかしま ユイスマンス

三島由紀夫をして「デカダンスの聖書」と言わしめた
本作。澁澤龍彦のお気に入りの訳書でもある。
そんな「さかしま」とはどんな本なのか。

主人公デ・ゼッサントは遺産を使い果たしてしまい、
パリ近郊の一軒家に移り住む。
家の中は書物から家具に至るまで、デ・ゼッサントの
趣味趣向が細部まで行き渡る「人口楽園」であった。

延々と綴られるデ・ゼッサントの趣味、すなわちうんちく。
人との交わりを絶ち、デ・ゼッサントは人工楽園の中で
幸せに暮らす。
しかし、持病の神経症が悪化し、生命か人工楽園かの
選択を迫られる―。

かなり癖の強い作家と聞いていたが、読んでみたら
それほどでもなかった。
ただ、好き嫌いは激しく分かれると思われる。