孤独な散歩者の夢想 ルソー

ルソーといえば、有名なフランスの思想家である。
教育論「エミール」の自然宗教的な内容がパリ大学神学部から
断罪され、『エミール』は禁書に指定され、ルソー自身に
対しても逮捕状が出たためスイスに亡命した。孤独な散歩者の夢想は亡命後、偽名でパリに戻って執筆されたものであり、未完のまま
ルソーは亡くなっている。

この作品はルソーの10の哲学的な夢想を断片的に綴ったもの
である。
「こうしてわたしは地上でたった一人になってしまった」と書き、
さらに「人なつっこい人間でありながら、万人一致の申合せで
人間仲間から追い出されてしまったのだ」と書いているように、
作品全体から孤独なルソーの生活が伺える。また、被害妄想に
近い人間不信も垣間見られる。
ルソーは不条理な境遇の中にあって、「自分の魂の平常な状態」を
探ろうと試みている。
ルソーの最後の作品として、読んでみてはいかがでしょうか?